食器に使う塗料

食器に塗料を塗る目的は、強度の確保と匂いを抑えることの二つに集約できる。樹種の風合いを残すためには浸透型塗料を使用して、強度を確保するのが良いのだが、匂いを抑えるという点で造膜型塗料が有利である。

樹種特有のにおいの問題

ヒバ、ヒノキ、杉、ナラ、などは、特有のにおいがするのでそのままで食器としては、使いにくい樹種といえます。

その対策として

  1. 天日干しする
  2. 造膜型塗料を使用する。

などが考えられる。天日干しが効果的なのは、ヒバ材があげられる。SPF等,柔らかくて弱い材にも造膜型塗料は、利用できる。

造膜型塗料の検討

使用可能になる要件

  1. 耐熱温度が百度以上
  2. 食品衛生基準値をクリアしている
  3. カラーリングが可能であること(つなぎ目を隠すため)

塗料個別の検討

ラッカー系塗料

  1. 食品衛生基準に準拠できるのか疑問
  2. 耐熱温度の問題

この2点で不合格

ウレタン系塗料

  1. 食品衛生基準をクリアするものは多い
  2. エナメル塗も可能である
  3. 漆風仕上げも可能である
  4. 蒔絵、象嵌、変わり塗も可能
  5. 耐熱温度は概ね80℃程度であり、その点で問題。

液体ガラス塗料(造膜型)

  1. 食品衛生基準はクリアしている
  2. 耐熱温度は100℃を超える。
  3. 付着性の問題でカラーリングができない。

透明限定であれば使用可能だが、完全ににおいを封じ込めるかという点で、膜が薄いので問題が残る。

カシュー塗料

  1. 食品衛生基準に不適合
  2. エナメル仕上げには、最適。
  3. 拭き漆風の仕上げも可能である
  4. 漆を名のることができる

食品衛生基準に適合していないことを除けば興味深いが、食器には使えない。漆成分を含んでいるだけあって、日にちがたつにしたがって深みが出てくることも魅力である。

セアウッドを使用したヒバ材の小鉢

セラウッド

  1. 耐熱温度は300℃
  2. 食品衛生基準に適合
  3. 硬度は高い
  4. カラーイングは可能である
  5. エナメル塗というよりも半透明仕上げに近い
  6. 半艶、艶ありも選べる。
  7. カラーを塗り重ねることで、塗りつぶしに近い仕上げも可能である。
  8. 塗膜が薄いので、木の肌触りを残すことができる。

このような理由から、セラウッド一択という感じがするが、欠点は、価格が高い。エアーブラシが、長持ちしない。漆風の塗りつぶしにはならない。などの欠点がある。

天日干しの検討

天日干しの欠点

  1. 時間がかかる
  2. 干す場所の制約
  3. ひび割れを誘発する
  4. よごれなどの問題

天日干しの長所

  1. 自然重視で、樹種の持ち味を失わない。
  2. 浸透型塗料を使用できて、仕上げ剤に柔軟性がある。
天日干し中のヒバのマグカップとお椀

木の持ち味を生かすなら天日干しを選択するべきである。しかし、SPFなど、つなぎ目のある場合、強度が足らない場合などは、不向きといえる。

まとめとして

樹種の持ち味を生かすなら、天日干しを選択するべきであり、樹種を隠すなら造膜型をえらぶべきである。しかし、木製食器の場合、わざわざ、樹種の持ち味を殺してまで木製にこだわる必要があるのか否かといいう問題が残る。

塗装剤の問題は、においの問題からスタートしているので、安い木材を利用して、安い木製食器を作りたいというところに帰結する。

そもそも、安い木製食器と言っても、それなりに高くつくので、木材の持ち味を殺してまで安さを追求する意味があるのかという疑問は残る。ある程度の価格には目を瞑って、食器に合う樹種を探す方が合理的と言えるかもしれない。

今のところ、こういう方法もあるということを頭に入れておくに留まりそうだ。