花瓶の塗料あれこれ

木製の花瓶は花が長持ちするという気がします。この思い込みから「木の持ち味を生かした花瓶づくり」がテーマになったのですが、それが試行錯誤の始まりでした。

ヒノキを使った花瓶。オイルフィニッシュ 樹種:ヒノキ亜麻仁油と蜜蝋で仕上げているので、水は染み込みますが、酷使に耐えている強者です。

木の持ち味を活かすとは、木の呼吸を妨げないことです。はじめは、外側はオイルと蜜蝋ワックスで仕上げて内側は無垢のままにするというものでした。花を生けたら木の香りがするのですが、一ヶ月もすると水が滲み出て来たりひび割れたり使い捨て状態になってしまいました。薄く作ると水が滲み出す。厚く作るとひび割れやすくなる。そんな感じでした。それでも、ヒノキなどは今も生き残っているものもありますが、生存率20%程度で、壊れるもののほうが圧倒的に多かったのです。

造膜型塗料の場合

カシュー(カシュー漆)塗り 樹種:米ヒバ拭き漆風に仕上げてみました。とても丈夫でしっかり乾かせてあげれば長持ちしそうです。

次に試したのは、塗膜で保護するタイプのもの。ペンキ、漆やニスの類です。漆を使うのが一番良いのでしょうが、ちょっと敷居が高い上に私の場合は、漆にかぶれてどうにもなりません。他の造膜型塗料も長期間水に触れている状態での耐久性には疑問があります。また、本来の木の持ち味を活かすという目的は果たせません。

浸透型液体ガラス塗料

液体ガラス塗料 樹種:ヒノキ数回塗り重ねているので、表面に膜を作っています。水を入れると、かすかに檜の香りがします。
液体ガラス塗料 樹種:ヒノキ数回塗り重ねているので、表面に膜を作っています。水を入れると、かすかに檜の香りがします。

塗料を探してみたところ「液体ガラス塗料」というものが最近はかなり安価に出回ってきました。その中でも浸透型と言って木の繊維に染み込んで乾燥するとガラス質になって木を保護してくれるものがあります。これだと木に染み込むので呼吸を妨げません。木の持ち味を生かして補強することができるはずです。しかし、何層にも塗り重ねないと効果が出にくいようで、実際には造膜型の塗料と同じような膜が表面にできてしまっています。ただ、匂いはするので完全に呼吸しないわけではないと思っています。

水回り用塗料「木肌一番」

内側塗装:木肌一番 外側塗装:セラウッド 木地着色:水性顔料 樹種:米ヒバ
内側塗装:木肌一番 外側塗装:セラウッド 木地着色:水性顔料 樹種:米ヒバ

ポプラの葉っぱを1ヶ月以上生けています。花瓶もポプラも元気です。ポプラは根が出てくるので数本は土に戻しました。

最近になって試しているのが、「木肌一番」という水性塗料です。木の中に浸透して補強するというタイプの塗料で、お風呂や洗面所など水回りでも使用できるものです。耐水性や防カビ性は強いのだろうと思われます。この塗料は水性の割に、乾燥が早く2回塗りぐらいで十分な効果を発揮するようなので、作業効率は上がります。木の風合いは十分に残り、おおいに期待している塗料です。いまのところ一ヶ月ぐらいの使用ですが、ひび割れることもなく使用できています。もう少し使用を続けて問題なければ、これに決めようかなと思っています。

本来の木の持ち味を引き出してあげる為の工夫がまだまだ必要だと思うので試行錯誤の日々は続きそうです。

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