槐の汁椀とご飯茶碗

手頃な槐の材料が手に入ったので、槐の器を幾つか作ってみました。これは、少し大きめの汁椀と小ぶりのご飯茶碗です。槐の原木については以前に書いていますが、材質としては、硬い部類に入ります。刃物はよく研いでおかないと綺麗には仕上がりません。しかし、磨き上げると艶々に仕上がります。ただし、小口に関しては丁寧に仕上げないとざらつきが出てしまって台無しになってしまいます。塗料は液体ガラスですが、汁椀は2度塗り、ご飯茶碗は1度塗りです。1度塗りだと洗剤で洗ってしまうと毛羽立ってくることがあるのですが、木の風合いが残るのであえて1度塗りで置いておきます。もし毛羽立ちが目立つようだとペーパーで磨いてもう一度上塗りします。汁椀の方は、熱いものを入れるので、初めから2度塗りで仕上げています。厚く塗ってしまうと折角浸透型の塗料を使っているのに、表面に膜ができてしまいます。なので、できるだけ薄く塗って表面に膜ができないようにしたいのですが、強度の問題で2度3度と重ね塗りする場合の方が多くなります。悩ましいところです。

ところで、上の写真で気づくでしょうか。ご飯茶碗と汁椀の違いは、下部のえらが張っているかいないかで区別がついてしまいます。特に決まりはないはずなのでどちらをどう使っても良いのですが、二つ並べてみると上がご飯で下がお汁という気がしてきます。お店で売っている食器を見ても汁椀は下の方が広がっていて、ご飯茶碗は細い感じ多いようです。習慣というか日常使っているとそれなりに決まりが出来上がっていくものなんでしょうね。そういう意味で、お椀とかお茶椀は、奇抜なデザインは好まれないのだろうと思います。大きさも1センチメートル違うと違和感が出てきたりするので、直径は13センチ前後が良いように思います。大きめのお茶碗でも15センチぐらいが限界だと思います。いつも使っているような形が安心して使えるという代表的なものなんでしょうね。

木目で遊ぶ楽しみ

それでも、日常使うものだからこそ遊びが欲しいですよね。装飾的なものは古代から必ずついているものです。機能性だけを追求しているわけではないと思います。そういう造形的なものをどうするかなのですが、蒔絵とか象嵌という手法で機能美だけでなく造形的な美しさを表現しているわけですが、木製の場合は、木目の美しさや手触りなどで、樹木自身が楽しんでくれているように思います。木が自然と遊び心を演出してくれています。特にお椀やお茶碗のような「形」で遊べないものを作るときは、樹木の持ち味をそのまま伝えることが造形的な美しさになると思います。

ただ、質感をそのまま伝えるというのは、意外と難しくて、強度を保つためには塗料を塗ります。塗料を塗るとテカってしまいます。

塗りを少なくすればテカリは抑えられますが、今度は毛羽立ちが心配です。汁椀は、熱いお汁を入れる前提なので丈夫に、ご飯茶碗は、できるだけ風合いを残すようにということで今回は仕上げてみましたが、これから使い込んでみて塗料の量も考えていきたいと思っています。

また槐と言う材は、傷が目立ってしまうようです。

上の写真のように削った時の傷がどうしても残ってしまいます。腕が悪いのですが、この傷はどうにもなりませんでした。樹種によって塗料の量も塗り方も、仕上げもみんな変わってきます。これが木工の楽しさでもあり、難しさでもあります。まだまだ勉強、勉強、勉強です。

何とか木と一緒に楽しめるように頑張っていきたいと思います。

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